昨年ノーベル化学賞を受賞された吉野 彰 旭化成株式会社名誉フェローをはじめ、第一線でご活躍されてこられた先生方に、各分野の研究の話題や貴重なご経験、次世代を担う研究者へのメッセージなど魅力的な4つの基調講演からなる合同セッションを開催いたします。
司会: 福山 秀敏 東京理科大学
「状態図(相図)と実学」
石田 清仁
東北大学名誉教授
[ 職歴 ]
[ 受賞 ]
[ 学会活動 ]
社団法人日本金属学会会長(平成19年度)
独立行政法人日本学術振興会 合金状態図第172委員会委員長(平成13年度~平成22年度)
社団法人日本鉄鋼協会理事(平成15年度~平成17年度)
社団法人日本鉄鋼連盟 鋼材規格三者委員会委員長(平成22年度~平成28年度)
APDIC(合金状態図国際委員会)副議長 等を歴任
[ 専門分野 ]
材料組織学, 相変態論, 金属材料学, 材料設計
「リチウムイオン電池が拓く未来社会」
吉野 彰
旭化成株式会社 名誉フェロー
国立研究開発法人産業技術総合研究所 ゼロエミッション国際共同研究センター センター長
技術研究組合 リチウムイオン電池材料評価研究センター 理事長
吉野彰博士は、現在、旭化成株式会社名誉フェロー、産業技術総合研究所ゼロエミッション国際共同研究センター長、リチウムイオン電池材料評価研究センター理事長などの職についています。
1981年に二次電池の研究を開始し、1983年に炭素を負極、コバルト酸リチウム(LiCoO2)を正極とする二次電池の発明に成功しました。その後負極を特定の結晶構造を持つ炭素材料に変更し、1985年に現在のリチウムイオン二次電池の基本構成を完成し、特許を出願しました。
その後、LIBの実用化のため、電極化技術、安全素子技術、保護回路技術、充放電技術などの種々の周辺技術開発が吉野博士により行われました。
主なものとして
①アルミ箔を正極集電体とすることにより高い起電力と低コスト化の実現、
②両面塗布法による薄膜電極化技術の開発により大電流放電の実現、
③多層の薄膜電極とセパレータ膜をコイル状に捲回して電池缶に組み込む電池化技術による大容量化の実現、
④ポリエチレン系微多孔膜をセパレータとPTC(positive temperature coefficient) 素子による電池の安全性向上
を挙げることができます。
吉野博士は、多くの国内外の賞を受賞しています。代表的なものとしては
2012年に米国電気電子学会「IEEE MEDAL FOR ENVIRONMENTAL AND SAFETY TECHNOLOGIES」
2013年にロシア政府「The Global Energy Prize」
2019年に欧州特許庁「欧州発明家賞」及び日本政府「文化勲章」「文化功労者」
そしてスウェーデン王立科学アカデミー「ノーベル化学賞」を挙げることができます。
吉野博士は、京都大学より学士号、修士号、大阪大学より工学博士が授与されています。
「局所プローブ顕微鏡で観る固体表面の機能」
川合 眞紀
分子科学研究所 所長
[ 学歴 ]
[ 職歴 ]
[ 受賞 ]
[ 所属学会 ]
日本化学会(2018,2019年度会長),日本物理学会,応用物理学会,日本表面真空学会,触媒学会,女性科学者に明るい未来をの会(評議員),米国化学会,米国物理学会(Fellow),米国真空学会
「エレクトライド:物質、物性と応用」
細野 秀雄
東京工業大学栄誉教授 同特命教授(元素戦略研究センター長)
東京都立大学大学院博士課程修了後、名古屋工業大学、分子科学研究所、東京工業大学助教授などを経て、1999年 東京工業大学教授。2019年4月から同学栄誉教授、特命教授(元素戦略研究センター長)。2020年4月から物質・材料研究機構 特別フェローを兼任。
日本国際賞、恩賜賞・学士院賞、Von Hippel Prizeなどを受賞。専門は無機材料科学。
鉄系超伝導体、酸化物半導体(IGZOなど)、電子化物など新規物質・材料の創出と応用に従事。目下の関心はアンモニア合成触媒。